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「アジアの昔話」を寄贈して頂きました


先日、神奈川県平塚市の小学校の図書館より、ハイキになった「アジアの昔話」①~⑥巻を頂戴しました。

これは1970年代後半から80年代にかけて福音館書店より発行されたアジアの昔話集で、日本をはじめとした東アジア地域から、カンボジアやラオスなどの東南アジア、ネパールからアフガン、イランといった南、西アジア地域に渡る全18か国の国々から48話が収められています。


カンボジアからは「うさぎ判事」と「召使をほしがった籠づくり」という二つの昔ばなしが紹介されていました。


簡単に内容をお伝えしましょう~


『うさぎ判事』


頭が良いためズル賢く、けれどキレ者であるため揉め事の時には“判事”となって揉め事の仲裁もする・・そんなうさぎがおりました。 あるときそのうさぎが死体のフリをして、通りがかりの人間の婦人をだまします。 婦人は新鮮なうさぎの死体を見つけ「おいしいうさぎ料理が食べれるワ!」とウハウハです。 そして婦人の籠に、売り物であるバナナと一緒に入れられたうさぎは、婦人の移動中にバナナを全部食べてしまいます。そして婦人が籠の中の異変に気付いた時には華麗な身のこなしでピューっととんずらする・・・という話。 うさぎの謀略と、可哀そうな婦人。。。

日本の物語だと、人をだますと後でしっぺ返しが待っている、というオチになりますよね。

ただ、カンボジアでは頭が良い者が得をして、騙される方には救いが無い。 この作品以外にも、カンボジアにはこういう終わり方をする昔話が多い気がします。 子供たちにリアルな人間社会をに包み隠さず表現しているんだな~・・・という感想です


もう一つの昔話です。


『召使をほしがった籠づくり』


籠作りの男が、籠の材料であるヤシの葉を取るため高いヤシの木に登っていました。 足元がすべり、落下寸前の所でヤシの葉を掴み、命からがらぶら下がることが出来ました。 たまたまそこを象使いの男が通りがかります。 「助けてくれ!助けてくれたら君の召使になるから!」 そう言われた象使いの男は象の背に立ち、そこから手を伸ばして宙ぶらりんの籠作りの男を助けようとします。 しかしあとちょっとの所で象が動いてしまい、今度は2人が宙ぶらりんの状態になってしまいます。 更にその後、4人のハゲ頭の男たちが現れます。 「助けてくれ!助けてくれたら君たちの召使になるから!」 ハゲ頭の4人は大きな網を四隅に広げて、2人が落下するのを待ち構えます。

そしてまさかのオチが待っていました。 ヤシの木にぶら下がっていた2人は、網の中央に勢いよく落下します。しかしそのはずみで四方に網を張っていたハゲ頭の4人が、中央にグイっと引き寄せられて頭を打ち、なんとみんな死んでしまうんです! 落ちてきた2人は「召使にならずに済んだぜ」と、何事もなかったようにその場を立ち去ってしまいます。現場には大きな網と、ハゲ頭の4死体。。。という話。


命を救おうと尽力してくれた4人の不慮の事故を全くかえりみず、そそくさと現場を後にする籠作りと象使いのご両人。。。

この昔ばなしからの教訓の抽出には、だいぶ時間がかかりそうです。


ナゼこの物語が“カンボジアの昔話”として残ったのか? 「アジアの昔話」を編纂するときに、ナゼこの2つの昔話が選ばれたのか??? まったく理解しがたいですが、そこを理解したい、という探求心もあります。 とにもかくにも、私のカンボジア研究には、まだまだイバラの道が続いている、と再確認させてくれた2作品でした。


ちなみに日本の昔話は「浦島太郎」と「三枚のお札」「絵姿女房」が紹介されています。 END




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